「人はどうして働くのか?」
この問いに対し、アルフレッド・アドラーによって創始された"個人心理学"の概念を主軸に置き、現代社会の仕事の問題も交えながら、展開して考察していく。
人はどうして働くのか?
- 問:人はどうして働くのか?
- 結論:人は"社会を形成"して"分業"しているから。(個人心理学)
現代に個人が選べる生き方は、大きく2つある。
- ①人の社会の中で働いて生きる。
- ②人の社会から出て、自然界の中で他の動植物と戦いながら生きる。
①の場合、個人は人の社会の中で生きるために働く必要がある。
すなわち、個人には仕事をしない選択肢がそもそも存在しないのである。
人は社会を形成して、"お金"という共通の価値を、食料や住居、衣服を始めとする多種多様な商品・サービスと交換している。
対して②の場合、人は自然界の中で生きることになる。
自然界の中には、電気も水道もガスもインターネットも存在しない。"お金"という通貨としての概念も不要になる。但し、紙幣であれば、辛うじて火の燃料として利用できるかもしれない。
そして、人が生きていくためには、必然的に他の動植物と戦う必要がある。
しかし冷静に考えた時に、人は自然界の中で本当に生きていけるのだろうか?
特に、今でも人が危険な生き物として認識している、"熊"、"鰐"、"虎"、"鮫"を筆頭とする種に対して、素手で戦えるだろうか。
恐らく、身の危険どころか、生命を賭した戦いになることが予想される。
しかも一度きりではなく、毎日、毎時間、毎秒・・・生きている間は常に。
明日への命を繋ぐために、他の動植物と戦い続ける。
それくらい、自然界は安心・安全からは縁遠い環境なのである。
人の群れと社会
ゴリラのヒトの歩行姿勢の違い:国立科学博物館
https://www.s-yamaga.jp/nanimono/seimei/jinrui-01.htm
"人" と "ゴリラ"。
種は異なるものの、共に地球上に存在する生き物である。
"人" と "ゴリラ" の共通点、それは群れを形成していること。
しかし、人は "社会を形成" して "分業" する仕組みを、地球の歴史上の生き物で初めて発明した。
その結果、今では地球上に存在するために必要不可欠な食料、衣服、住居を安定して確保することが可能になった。
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